右脳と左脳のバランス 自律神経への影響1[機能神経学2]
機能神経学という、最新の神経学モデルで説明可能なカイロプラクティックの分野があります。今回は、その概要をお伝えします。
左右の脳に機能的な偏りがあることを、ヘミスフェリシティーと言います。人間の神経システムは、受容ベースであることがわかっています。関節の固有受容体からの求心性刺激により、神経システムはボトムアップの方向で組織されています。そのため求心路遮断によって、脳の機能的な偏り(ヘミスフェリシティー)が生まれてきます。しかし、関節受容体からの求心性刺激を増加させることで、求心路遮断をリバースすることが可能です。
ヘミスフェリシティーによって起こりうる可能性がある症状には、代表的なものとして自律神経失調症があります。自律神経は様々な調節をしていますので、症状も様々です。頻脈性不整脈、過呼吸、呼吸困難、無呼吸症候群、光や音に過敏、複視、内臓機能低下、不眠、リラックスできない、等があります。
脳の機能低下が、なぜ自律神経に影響を及ぼすのでしょうか。
右手は左脳でコントロールされ、左手は右脳でコントロールされます。これは、大脳皮質からの遠心性信号10%によるものです。皮質脊髄路という部分です。
大脳皮質からの信号の残り90%は、同側の網様体を通り、さらにそのうち90%は橋延髄網様体に影響を与えていることが分かっています。つまり、脳からの信号の大部分が同側の橋延髄網様体に影響を与えているため、左右の脳機能の偏りはそのまま左右の橋延髄網様体への刺激量の偏りにつながります。
では、橋延髄網様体の働きですが、大きく4つあります。そのうちの1つだけを紹介します。橋延髄網様体は、同側の中間外側柱を抑制しています。中間外側柱は、交感神経です。
例えば、右脳ヘミスフェリシティーにより、右の橋延髄網様体の機能低下がおこります。すると、右中間外側柱の抑制が弱まるため、右の交感神経が強く働くことになります。交感神経は自律神経の片方ですから(もう一方は副交感神経)、自律神経失調により様々な症状が現れる可能性があります。
では、脳の機能的な偏りをどうやって調べればよいのでしょうか。その検査法はまた別の機会にでも。
まとめ
・機能神経学の基本概念は、左右の脳の機能的な偏り
・脳の機能的な偏り(ヘミスフェリシティー)で、様々な症状がでる可能性がある
・自律神経失調の原因は、ヘミスフェリシティーの可能性がある
(G)