ママ・パパに知っておいてほしいこと①「先天性股関節脱臼」

先天性股関節脱臼(せんてんせいこかんせつだっきゅう)という病名を、聞いたことがありますか?

女の子に圧倒的に多い病気です(男の子の6倍です)。読んで字のごとく股関節がずれたり外れたりする病気ですが、先天性(うまれつき)だけでなく実は後天性(生まれた後になる)のことが割と多かったりします。

遺伝的要素があることから、血縁者に先天性股関節脱臼の人がいる場合は注意してチェックする必要があります。また逆子は、出産時に膝を伸ばしたかたちで生まれてくることが多いため、このときに外れることがあるようです。赤ちゃんにとって自然な体勢は、カエルのように股をひろげて脚を曲げた状態です。この体勢を変えてしまうようなことが、後天的に股関節脱臼になるリスクとなります。曲がっているのが自然な状態の足をまっすぐにさせようとしたり、脚を曲げた体勢を妨げるようなオムツや衣服をつけたり、足をまっすぐにして抱いたり、といったもの全てがリスクとなります。

病態としては、3つに分けられます。完全脱臼は、臼蓋(きゅうがい)から大腿骨頭(だいたいこっとう)が完全に外れています。亜脱臼(あだっきゅう)は、関節がはずれかかった状態です。臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)は、脱臼ではないけれど関節の発育(骨盤側の受け皿の部分=臼蓋)が悪いものです。

3ヶ月検診で見つかることが多いですが、見逃されてしまうこともあるため、普段接しているお父さんお母さんの観察が重要になってきます。ひざの開きが悪かったり、股関節を曲げるとポキポキとしたクリック音が聞こえたり、太ももやおしりのシワの数が左右で違っていたりすると、疑いが増します。

なぜ、先天性股関節脱臼が重要かというと、早期発見で早期治療すると良くなることが多いからです。逆に、気づかないで年齢を重ねると、変形性股関節症になってしまいます。日本では変形性股関節症の約90%が、先天性股関節脱臼から二次的に続発するといわれています。変形性股関節症は、徐々に変形が進行していきます。症状は、痛み、動きの制限、跛行(はこう)の3つです。

カイロプラクティックにも、変形性股関節症と思われる方や、実際にそう診断された方が多くいらっしゃいます。カイロプラクティックでは、股関節や足に神経を送っている腰の関節の動きを元に正していきます。また、股関節自体の可動制限も、痛みとのバランスをみながら動きをつけていくこともあります。そうすることで、疼痛を減少したり、可動域の低下を遅らせたり、バランス改善により負担の分散などをはかったりしていきます。一度変形してしまった関節は元にはもどりませんので、機能をできるだけ維持していくことが重要となってきます。

生まれてすぐの先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全が、40歳を超えてから症状として現れてくるので、早期発見で早めに手を打ちましょう。今回は、生まれてきた赤ちゃんにスポットをあてたマタニティ・カイロでした。(G)