整体とカイロプラクティックの違い<教育編>

さて、このシリーズを読んで少しはカイロプラクティック事情を知っていただけたかと思います。

今回は教育に目を向けてみましょう。

整体の学校は全国に沢山あり、短くて夜間のみ半年?全日制3年まで、様々なものが存在します。あえて学校という形を取らず、お弟子さんを育てる師弟制度の治療院もあるようですが、大多数は1~2年です。

一方カイロプラクティックも様々な学校があります。こちらも最短は夜間半年~全日制4年までと多岐にわたります。整体(※柔道整復師は基準があります)との大きな違いがひとつあります。

それはカイロプラクティックは海外では法制化されており、明確に教育水準が整っているということです。わかりやすく言えば、医師は6年(薬剤師も最近では6年制になりましたね)、看護師は3年と、どの都道府県・私学公立の学校を選んでも、明確に履修時間・単位数が定められています。それと同じように、カイロプラクティックが法制化されている国では、カイロプラクティックを学べる学校は限られています。

皆さんもご存じのように日本にはカイロプラクティックに対しての法律・基準はありません。無資格であるからこそ、短時間で実技だけ教わっても開業できるのです。ですが、本来カイロプラクティックの理論・手技を用いて施術を行うのであれば、国際的な基準では最低でも4200時間以上の履修が必要です。

4200時間という時間は非常にキツイです。延々と続く基礎医学の授業、こんなの必要ないんじゃないか?(笑)と思われる細胞や組織の授業、生化学などもありますが、インターンになり症例数が増えるにつれ、筋肉や骨格のことだけでは人間の身体は理解できない、全てつながっているのだなということに気がつきます。

もし今基礎の部分が辛くて辞めたいな・・・こんなはずじゃなかったな・・・と悩まれている学生さんがいるとしたら、そこを乗り越えたからこそ見える、患者さんの訴えているものだけでなくそれ以外にも様々な問題に気づくことができるようになる!という次のステージに進むための準備と思って、頑張ってください。今は我慢の時です。笑

人の身体をむしばむ問題はそんなに簡単なものではないと思います。

もちろん脊柱の問題を解決しただけでは治せない問題も沢山あります。そのことをわかる為にも、人の身体がどうなっているのか、今の医学ではどのような対応をしているのかを知る必要もあります。

カイロプラクティックは万能薬ではないですから、カイロの適用外であると判断し、専門家を受診することを勧めることもれっきとした仕事です。その「カイロプラクティックでは対応できない」疾患についても知っておくには、長い時間をかけて、人間の身体について学ぶ必要があります。

これらの基準をしっかりもって、自らの教育水準を保つために世界的に基準を定めているのがカイロプラクティックです。けして経験や勘だけに頼らず、臨床に臨まなければならないことを、4年かけて学びました。

最近ではカイロプラクティック業界の中でも1?2年制だった専門学校が3年制に期間を延ばす学校があったりと、少しずつではありますが、業界としても意識が変わってきています。

法制化されてから学校の基準を定めるのではなく、業界としてまず一定の水準を保つことが、人の身体を扱う職業として必要なのではないか、と考えた結果でしょう。今後もカイロプラクティック業界は明確に自らの基準を示して、代替医療の中での役割を果たしていけたらいいなと思っております。

教育の話から業界の話まで長くなりましたが、最後まで読んでいただきましてありがとうございました。(K)

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