姿勢、運動と固有感覚
まだまだ寒いこの季節、つい身体をちぢこまらせて過ごしてしまいがちですが、姿勢を良くすることや身体をこまめに動かすことは、健康なからだづくりのためにとても重要です。
良い姿勢を維持することや運動をおこなうことによる「健康なからだづくり」とは、筋力アップで強い肉体をつくることや筋肉を動かすことによる産熱や神経のはたらきがととのって免疫力がアップすることなどなどですが、感覚受容器への適度な刺激によって固有感覚を鍛えるという点においても重要です。
固有感覚とは、深部感覚または自己受容感覚ともよばれる、身体の深部(皮膚と内臓の間)の感覚のことです。
筋肉,腱,関節が縮んだり伸びたりすることによってそれぞれに備わっている固有感覚受容器が刺激されて検出される身体の運動や各部位の位置の変化についての情報で、その情報が脳に送られてくることで運動の細かな調整をしたり、姿勢のバランスをとったりしています。
固有受容器は腕や足などどの関節にもあり、もちろん背骨の関節のひとつにひとつにもあります。
ヒトの運動や位置感覚にとくに大きく影響を及ぼすのは、足底(足の裏),頚部(首)の筋肉,仙腸関節(骨盤の関節)の固有感覚受容器です。おおまかに言うと、足底は地面の状態と自分の身体との位置関係、頚部筋は頭の位置、骨盤は姿勢バランスのコントロールに重要だからです。
固有感覚は、脳血管障害による麻痺によって障害を受けるものとして知られていますが、そこまで重症ではなくても、他のあらゆる感覚と同じように適度な刺激を与えて鍛えておくことをしなければ感覚が低下し、鈍くなります。
つまり、姿勢を維持する筋肉をあまり使っていない・身体をあまり動かしていないまま年を重ねていくと、固有感覚は低下し、ますます姿勢の維持が困難になったり、つまずいて転倒してしまうリスクが高くなったりしてしまうというわけです。
また、運動不足や不良姿勢によって関節に可動制限やゆがみがあると、その関節の受容器が異常な刺激を受けることになり、受容器自体が過敏になったり、周囲の筋肉が防御反応を起こしてかたくなったりします。
そして関節のゆがみによる異常な刺激が慢性化することでその部分(首や肩や背中など)のコリ感が強くなってしまったり慢性疲労が起きてしまったり自律神経のバランスが乱れてしまったりするのです。
カイロプラクティックでは、固有感覚受容器への異常な刺激からの解放および適度な刺激による固有感覚の改善も、背骨の関節を矯正することによって得られる効果のひとつと考えられています。
歩いたり足の裏をもんだり足首を動かしたり骨盤を立てたり背筋をのばしたり肩を回したり……世の中で健康に良いとされている「こまめに身体を動かす」ことで心身のさまざまなはたらきが鍛えられます。痛みや無理のない範囲で動かしてみてください。
コリが強いとき、疲労感がとれないとき、背骨のゆがみや関節の可動制限を感じるときなどはカイロプラクティックもご利用ください。
(M)