脊椎固定術(椎体間固定術) カイロプラクティックを受けられますか?
【Q&A】脊椎固定術(椎体間固定術)を受けていてもカイロプラクティックを受けられますか?
A.受けていただけます。固定してある関節を矯正することはできませんが、カイロプラクティックの施術は行うことができます。
脊椎固定術は、ご存知のとおり不安定性のある脊椎に対して支持性を獲得させるための手術です。整形外科学の教科書によると、主に脊椎の変形やすべり症などによる重度の脊柱管狭窄症や、骨折や重度の椎間板ヘルニア腫瘤を摘出した後などの不安定性を改善し、痛みや神経症状を軽減するために行なわれます。背中側から脊椎の後方あるいは後側方要素の関節の間を固定する方法と、腹部側から椎体間を固定する方法とがあり、自家骨(自分自身の他の部分の骨を移植)や人工骨を用いたり、スクリューやネジ,ボルト等を使用したりして背骨の上下を固定させます。
固定された背骨は骨折が治癒するのと同じように次第に骨癒合してくっついていきます。そうなれば当然安定しますが、それは動きが制限されるということでもあります。
そのため、リハビリをきちんと行えていなかったり周囲の組織や筋肉による支持性や柔軟性が著しく低下したりしたまま過ごしていると、隣接した椎間板など、今度は固定した背骨以外の部分に負担がかかってそこにまたヘルニアや狭窄などが生じてしまうことがあります。
そういった不具合を予防したりQOL(生活の質)向上,維持したりするためにも、可動制限や筋力がうまく発揮できていない状態を改善するためにカイロプラクティックは積極的に行います。
固定された関節は癒合しているので動かせませんが、同じ椎体の癒合していない部分の可動性が少しでも上がるように、あるいは周りの靭帯や筋肉などの軟部組織の柔軟性を高めるといった目的などで、固定された部分にも無理のない範囲で押圧やモビリゼーションなどのアプローチをします。
そして固定してある部分以外の脊椎関節の“ゆがみ”を矯正してととのえることは、脊骨全体の動きが改善されたり、筋力が発揮しやすくなって座り姿勢や歩行などのバランスが良くなったりすることにつながってリハビリの助けになるなど、患部とその隣接部分だけでなく身体全体の負担を減らすと考えられます。
(M)