なぜ「猫背姿勢」が楽なのか?
「猫背だから首肩がこる」「猫背でデスクワークをしていたら腰が痛くなった」などなど、猫背は「悪い姿勢」というのは一般的に共通した認識だと思います。
それにもかかわらず、「気を抜くとつい猫背になってしまう」人が多いのはなぜでしょうか。
猫背姿勢は、自分の腹筋や背筋をあまり使っていないので、脳が「力が抜けてリラックスしている状態」と判断しているから楽だと感じているのだといえます。「“お腹の中の赤ちゃんの体勢”なので安心するから」という説もあります。
本来、地上重力下において二足歩行であるヒトの一番楽な姿勢は、「立っている姿を横から見たときに背骨が緩やかなS字カーブをえがいていて、耳・肩・股関節・足が垂直線上におさまっている姿勢」のはずなのです。この姿勢は、頭の重さを支えやすく、首や肩や腰などのどこか一部だけに負担がかかりすぎるということがないからです。
対して猫背姿勢を横から見ると、たいていが背中全体でCの字をえがいていて垂直線上から大きくずれています。この姿勢は頭の重さを分散できずに首や肩に余計な負担がかかっている状態であり、なおかつ背筋が引き伸ばされて背中のハリをつくりやすい状態であり、さらには腹筋を弱らせて腰の負担を大きくしかねない姿勢であると言えます。
背骨がゆがんだ状態ですので、背骨の中を通っている神経のはたらきも悪くなって体の不調につながります。
ゆったりくつろいでいる時は、横になったりもたれたり寄りかかったりして、腹筋や背筋、そして脳を休ませることも大切です。
しかし、猫背姿勢を長時間続けることは前述のような負担をかけ続けることになるので、脳が楽だと誤認していたとしても、からだにとっては痛みや弱下さらには不調の原因となってしまいます。
ヒトは、何万年もかけて背骨と脳・神経系を発達させて二足歩行をするためのからだへと進化してきました。それがここ百数十年の間に急に座る時間が長い生活になったからといって、それくらいではヒトのからだは座り続ける生活に適応できていないのです。
うっかり猫背になってしまっていることに気づいたら、腹筋と背筋をバランスよく使って背筋を伸ばしたりときには体を動かしたりしてください。
そして、カイロプラクティックの施術を受けることによって、背骨全体の柔軟性が高まり、また神経の流れが良くなっていきます。「直立で頭を支えやすい」「二足歩行で動く」ために負担のかかりにくいからだを目指しましょう。
(M)