腸腰筋~腰痛を起こしやすい筋肉~
病院では原因不明と言われた腰痛のうち、「腸腰筋」が関係しているケースがかなりの割合であるとカイロプラクティックの世界では考えられており、最近はそれを医師がメディアで発信したり、「腸腰筋のばし」というエクササイズが推奨されたりするのも見かけるようになりました。
腸腰筋は、大腰筋(人によってはさらに小腰筋)と腸骨筋とを合わせた筋肉の呼称で、背骨の椎体(胸椎の12番~腰椎)と骨盤(腸骨)の前面から股関節前面小転子までの深層部に位置するインナーマッスルです(右模式図参照)。
股関節を曲げる筋肉として、足を前方に踏み出したり、腹筋運動のように脚を固定した状態から上半身を起こしたりする動作で使われます。
また、腰を安定させるうえでもたいへん重要な役割を果たしています。
そんな重要な腸腰筋ですが、デスクワークや運転などの股関節を曲げた状態を長く続けると、硬く縮んで筋力が弱くなりうまく使えなくなったり、慢性的な痛みを生じたり、また、ぎっくり腰と呼ばれるような急性腰痛も起こしやすい筋肉でもあるのです。
以下の項目にあてはまる腰痛もちの人は腸腰筋が原因である可能性が高くなります。
●仰向けで寝ると腰が浮く・痛い
●起きる時に腰が痛い
●反り腰タイプの猫背(反り腰についてはこちらもどうぞ)
●長時間立ち続けるのがつらい
●靴底を擦って歩いている
腸腰筋を強く柔軟にして腰痛を軽減させるには、よく歩き適切な起き上がり動作(腹筋運動)をするのが良いのですが、硬く縮んだ状態のままでそれらをおこなうとかえって悪化させてしまいますのでまずはゆるめて血行を良くしたり、支配神経のはたらきを改善させたりしましょう。
自宅や職場でできるエクササイズ:安定したデスクに両手をついて、足を前後に大きく開きます。そこから前に出している足の膝を曲げて腰を前下方にゆっくりおろして腸腰筋を伸ばしましょう。反対側も同じようにおこなってください。
カイロプラクティックでは、大腰筋の起始する胸腰移行部~腰椎、腸骨筋の付着する骨盤のゆがみをチェックして矯正します。腸腰筋は支配神経も付着部の背骨に出口がありますので、その部分のゆがみの矯正で改善するケースがほとんどです。
(M)