食いしばり・噛みしめ
リラックスしている時は通常、上下の唇を閉じていても上下の歯は軽く離れているものです。
口を開くとき、口を閉じるためにはたらく咀嚼筋(咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋)の力をゆるめることで下顎の重さ(重力)により開口しますので、咀嚼筋がリラックスしているときにはアゴがリラックスして歯と歯の間には隙間ができているはずだからです。
普段の生活の中で、食事の咀嚼やしゃべるときには瞬間的に触れ合いますが、一日のうちで上下の歯の接触時間はトータルで10~20分くらいといわれています。
しかし、日常生活を送っているだけで常に歯を食いしばっている人や、食いしばっているというほど強い力でなくとも上下の歯が常に触れ合っているような状態で気づかずに過ごしている人が増えているようです。更に、寒い時期になって、無意識に歯を食いしばっていたり震えてガチガチと上下の歯が接触したりすることも多くなります。
食いしばり・噛みしめが知らず知らずのうちにクセになっていると、歯の摩耗や顎関節症、頭痛、耳鳴り、首肩こりなどから全身症状につながるケースもあるので、気づいて対応をとりたいものです。
寒さ(ふるえ産熱)に関係のない食いしばりグセの原因ははっきりとは分かっていないそうなのですが、一般的に歯を食いしばるときというのは交感神経を高める必要があるときなので、気持ちの緊張やからだ全体の緊張、ストレスが関係しているのではないかと言われています。
朝起きたときに顔や首や背中がこっている場合や、首肩を動かしてストレッチをしたり姿勢に気をつけたりして予防しているのに頭痛や肩こりが慢性化している場合は、寝ている間の噛みしめや、仕事中の無意識の歯の食いしばりをしてしまっているのかもしれません。
お風呂に入っている時や寝る前などに、人差し指,中指,薬指の腹でアゴや側頭部をやさしく揉んでみてください。咀嚼筋の主な筋肉はその部分(アゴと側頭部)に付着していて、食いしばり・噛みしめによって過緊張が続くことで緊張性頭痛の原因になったり、筋膜でつながっている首や肩の筋肉のコリを引き起こしたりします。
揉むだけでゆるめば大丈夫なのですが、先述のとおり、寒さやストレスや気持ちの緊張などによって交感神経が高い状態だと、寝ている間や仕事や趣味といった他のことに集中しているときなど無意識のうちに歯を食いしばって生きている可能性が高いです。
交感神経のはたらきが強い状態が続いているときは、胸椎が固くなっていることが多く、カイロプラクティックでは副交感神経とのバランスをととのえることを目的として矯正をおこないます。また、頚椎のゆがみを矯正することで首や肩の筋肉の緊張がゆるんで、アゴの緊張の緩和にもつながります。
(M)