骨盤の“不安定さ“が痛みの原因になる…
腰痛や殿部痛は多くの場合、痛むところの腰や骨盤の関節が歪んでかたくなっている(関節の可動制限がある)場所と方向をみつけて矯正すると痛みが出ない状態になり、まわりの筋肉も柔軟で動きやすくなります。
しかし、時に「骨盤が不安定なせいで痛い」ということがあります。
不安定症=ハイパーモビリティと呼ばれ、矯正や筋肉の緩和操作を加えてしまうと余計に痛くなってしまうタイプのものです。
ハイパーモビリティは首や膝など他の関節でも起こり得ますが、今回は骨盤(仙腸関節)のハイパーモビリティについてみていきます。
仙腸関節のハイパーモビリティが生じている場合、骨盤が外旋している(後ろから見て開いている)ことが多いです。
体幹を動かしたときにどの動きでも痛み(右のお尻が痛いとして、左右どちらに曲げても捻っても右が痛む)、腰骨の出っ張りを腸骨稜に沿ってたどっていったところの前側の出っ張りに圧痛(押したときの痛み)もあります。
つまり歪みも痛みもあるので、「かたいところ探し」をしていると不安定さを見逃してしまい、まわりで支えてかたくなっている筋肉をゆるめることでますます不安定になって痛みが強くなってしまうこともあり得ます。
仙腸関節のハイパーモビリティによって痛みが出ている場合は、同時に大殿筋の弱下が起きており、それを補うために骨盤(仙骨)と股関節をつなぐ筋肉である梨状筋がタイトになりやすいです。
特に妊婦さんは胎児が育っていく中でのホルモンの影響で骨盤は不安定になりやすく、中でも若い頃の怪我や捻挫グセなどがある人、脚を組んで座るクセがある人は殿部痛や坐骨神経痛が出やすく、妊娠7〜8ヶ月めが一番痛むと言われています。
仙腸関節がハイパーモビリティになっているときは、見た目の骨盤の歪みができていてもその関節を矯正するのではなく、骨盤の反対側の関節や腰の上の方で動きが制限されている関節を矯正することで動作時の負担を減らします。
また、骨盤を安定させてくれる筋肉の筋力がうまく発揮できるように矯正をおこない、安定を強化するエクササイズをお伝えするようにしています。
(M)