体が重く感じる…重力というストレス
新年度を迎えて誰もが(良くも悪しくも)精神的なストレスを受けやすい頃です。また肉体的にも疲労しやすく、体重は増えていないはずなのに体が重い・なんとなくだるいと感じる人も多くなっています。
コロナ禍下での新生活…緊張と、マスクしながらの生活によって無意識に呼吸が浅くなることも大きな肉体的ストレスになっていますが、もうひとつどうしても避けられない、しかし普段は気付きにくい身体へのストレスがあります。それは重力です。
ヒトを含め地球上の生物は重力のある環境で存在するようにできており、重力は本来私たちの身体にとって必要なストレスです。そして重力下で二足歩行をして生きやすいように人類は進化を遂げて、他の四足歩行の哺乳類とは違う骨盤の角度や背骨のカーブなどを手に入れました。
しかし現代人は身体を動かすことに比べて頭を使いすぎている人が増え、そういう人たちは頭を前に突き出して背中を丸め、首や腰のカーブがほとんどない状態で重力ストレスにさらされている時間が長すぎます。そしてそのまま長時間のデスクワークなどで動かせずにいると、重力のストレスを受け流すことができずに、関節とその周りの筋肉などの軟部組織はサビついたように固く(硬直や拘縮)弱く(弛緩,脆弱)機能不全になっていってしまいます。
関節は骨どうしの隙間であり、神経や血管の通り道になっていますので、関節がサビつくと神経の流れや血流が阻害され、からだの動きやはたらきがわるくなります。
特にデスクワークの人でサビつきやすい肩甲骨の間くらいの胸椎は、胸郭の動きにともなう呼吸運動と、呼吸器などの内臓のはたらきにもかかわる部分ですので、今、マスク生活での息苦しさと併せて呼吸の質が低下しやすくなってしまっています。
首や腰は自分でも触れやすく、意識すると動かしやすいので、頚椎や腰椎のゆがみは比較的気付きやすいかと思いますが、背中は「どう動かしたら良いか分からない」とおっしゃる方も多く、背骨を自分で触ろうとするときは背中の筋肉が緊張してかたくなるので動きのチェックが難しいです。まずは姿勢をただした状態で背中がキツくないか、深呼吸して胸が苦しくないか、感じてみてください。詰まりや動かしにくさを感じる部分はサビついていると考えられます。
カイロプラクティックの矯正は、その背骨の「サビつき」に対して、カイロテーブルに臥して背骨への重力の影響がより少ない状態でリラックスしていただいておこないます。
背骨の「サビつき」がなくなると、重力をうまく受け流すことができる背骨になって身体が軽く感じられます。また、呼吸の質が良くなることで自律神経がととのって回復力が上がるという報告もあります。
気が重いときに体も重たく感じるように、体が重く感じるときは気持ちもふさぎやすくなります。
重力というストレスによる負担を減らし、身体がまずは軽くなるように、背骨と姿勢のケアをすることもカイロプラクティックの大切な役割であると考えます。
(M)