背骨の関節,骨盤の関節
背骨は、7個の頚椎,12個の胸椎,5個の腰椎,そして仙骨,尾骨というたくさんの骨が連結して、横から見るとS字カーブのような弯曲のある一本の柱のようになっているものです。他の関節と同じように、骨と骨の連結部分はそれぞれ関節包や靭帯で繋がった関節になっていて、首や背中や腰の運動を可能にしています。
カイロプラクティックではその骨と骨の間の関節部分にコンタクトして矯正するのですが、「背骨の関節」というものが肩や指や膝などの他の関節と比べてイメージしにくいかもしれません。
背骨のひとつひとつの骨は椎骨といい、椎骨の前方の楕円の塊部分を椎体,後方のトゲトゲのある薄い部分を椎弓と言います。
椎体と椎体の間には椎間板があります。椎間板はコラーゲンを含む線維輪の層がゼラチン状の髄核を幾重か囲んで支える構造になっています。このため、椎間板には独特の柔軟性があって、からだの動きを大きくしたり重力を支えたりすることができるのです。重力下での耐荷重と衝撃分散の役割を担っているとともに、硬い椎骨同士の衝突を防ぐ緩衝材にもなっています。
椎間関節は椎弓部分にあって、各椎骨の左右にそれぞれ上下の椎間関節があります。頚椎,胸椎,腰椎でそれぞれ椎間関節の向きが違っていて、動かせる方向や範囲が決まっていますので、矯正するときのコンタクトも向きに合わせて変える必要があります。
骨盤は仙骨と左右の腸骨,坐骨,恥骨からなっています。腸骨,坐骨,恥骨は成人では完全に癒合して間に関節はなくひとつの寛骨になります。仙骨ももともとは5つに分かれていましたが、10代後半から癒合し始めて30代半ばで一つの骨になります。
骨盤の関節は、腰椎と関節する仙骨と左右の腸骨との間にある仙腸関節と、左右の恥骨の結合部である恥骨結合です。
仙腸関節は、関節自体を動かすための筋肉が存在せず、関節面が不規則で関節包がたくさんの強大な靭帯で補強されていて妊娠中や産後以外の骨盤では画像検査ではほとんどわからない程度のわずかな動きしかないため、解剖学の分野では以前は不動関節と考えられていました。
しかし現在では可動関節であると認識されており、実際仙腸関節は3~5mm(諸説あり/個人差あり)の可動域で体幹を支えながら歩行などの運動を導くようにはたらき、運動と体重の負荷(圧縮力)の吸収を補助して脊椎のバランスをとっています。座っている時間の長い生活で体重の負荷がアンバランスにかかり続けることでゆがみを生じると考えられます。
いかがでしょうか。カイロプラクティックで矯正をおこなう関節について、ゆがみや神経への影響になどをイメージする際のお役に立てたらうれしいです。
(M)