口腔機能の衰え:オーラルフレイル
2022年、歯科健診義務化の検討というニュースにともなって、オーラルフレイルというワードが話題になりました。
オーラルというのは口頭,口腔などという意味の英語、フレイルというのは「加齢により心身が衰えた状態,虚弱」を指し、オーラルフレイルとは、「口腔機能の低下が心身のあらゆる機能の衰えの前兆になる」ことに警鐘を鳴らす、日本で提唱された概念です。
口腔機能は、「摂食,嚥下」「発音」「呼吸」という3つの重要な身体機能に大きくかかわっています。
これまでは口腔の健康指標の代表と言えば歯の本数でした。8020運動(80歳で歯を20本以上残す目標)という言葉を耳にしたこともあるかと思います。30年前には10%に満たなかった達成率が2017年には51.2%にまで上昇した8020運動ですが、近年、口腔機能は歯の本数のみでなくそれに加えて噛む力や飲み込む力の維持も重要であることが分かってきました。
そしてそれには、歯ぐきの問題,口呼吸,口周りの筋肉や舌の運動,頭位・姿勢などが影響を及ぼすことが分かっています。
フレイルというと加齢に伴う機能の衰えという意味あいがありますが、これら口腔機能の低下は高齢者だけでなく壮年〜若年層や子どもにも増えていると言います。
昔に比べて現代は食べるものが柔らかくなったために噛む力が弱くなったり、姿勢が悪いために首や顎の位置がゆがみ、口唇を自然に閉じていることが困難になったり、食いしばりや歯ぎしりによって咀嚼筋の柔軟性が低下して思うように動かせなくなっていたりすることが原因として挙げられています。
咀嚼筋の支配神経は三叉神経の枝であり、その他の口の周りの筋肉も支配神経は頚椎の椎間孔が出入口になっているものはほとんどありませんが、頚椎のゆがみが口の周り,ノドの筋肉や顎関節の機能低下につながっていることは十分考えられます。そして背中のゆがみが上半身の緊張を悪化させたり、姿勢が悪くなる原因になっていたりして悪影響を与えることもあると思います。
むしろ、口腔機能の低下が心身のあらゆる機能の低下を示唆するということでもあると考えられますし、心身の機能低下は、脳から出て脊柱管を通り椎間孔から出てくる末梢神経の通りみちが背骨のゆがみのせいで阻害されて、その部分の神経のはたらきを低下させていることが原因だとカイロプラクティックでは考えますので、口腔機能やその他心身の機能低下などのご相談にも対応いたします。
(M)