運動能力の低下と固有感覚
固有感覚(固有受容感覚)とは、体の動きに関する感覚で、運動感覚とも呼ばれます。
目を閉じていても手足や身体各部位の位置や曲がり具合などがわかる位置感覚,関節の運動がわかる動きの感覚,手足など体に乗った物体の重さやそれを保持するのに必要な筋力がわかる重さの感覚などがあり、その受容器があるのは関節や筋肉(筋紡錘),腱(腱と、腱と筋との接合部にあるゴルジ腱器官)です。
固有感覚の受容器は関節や筋肉,腱の運動を感知して脳に情報を送っています。
目を閉じて、他人に右手を動かされたときに、それがどのように動いたのか見えていなくても、自分の意思で同じように左手を動かすことができるでしょう。それは固有感覚があるおかげです。
背骨の関節にも骨盤の関節(仙腸関節)にももちろん固有感覚の受容器はあり、姿勢の維持や身体の運動に重要な役割を果たしています。
関節や筋肉は動かさなければ、いわゆる「固く」なっていきますし、そのまま年を重ねると筋・筋膜の癒着や関節の変形などを起こしてしまうでしょう。
関節の可動域や筋肉,腱の柔軟性が低下すると、その部分の固有感覚そのものが低下していきます。
高齢者になるほど、真っ直ぐ歩けなくなる,バランスを崩しやすくなるなどの運動能力の低下がみられますが、筋肉の絶対量や体力の多少の低下は別として、固有感覚の低下による運動能力の低下は、ただ単に加齢によるものではなく、大人になるにつれて関節や筋肉や腱を、日常の生活動作以外で動かす機会が減少することによるところが大きいのです。
背骨や骨盤の関節の動きが悪くなって歪みや変形などが生じると、感覚や運動の神経の線維の出入口が阻害されることによる機能低下だけでなく、固有感覚の低下による運動能力の低下も起こってしまうことになります。
カイロプラクティックのケアによる脊柱の可動域の維持,改善で、関節や筋肉,腱の固有感覚を刺激してヘルシーエイジングのお手伝いになることを目指します。
(M)