「スジ」って何?~筋,腱,靭帯
こり症状のある方のお話をうかがっていると、「このコリコリしてる“スジ”が痛いです」と言われることがあります。この場合、血行不良や筋肉の微細な断裂や軽度の筋スパズムによって「筋肉」に生じた硬いしこり(索状硬結)のことを表現していることがほとんどです。「首のスジ違い」も「筋肉」を傷めていることが多いです。
それとは別に、腕や足などの「スジを傷めている」というときは「腱」や「靭帯」の損傷である場合もあります。
スジを漢字変換すると「筋」となります。スジは解剖学用語としては存在しませんが、「骨格筋やその周囲の硬い(もしくは硬くなった)ところ」というような意味で一般的に使われています。
つまり「スジとは何か」というと、筋肉(のしこり)か、腱か、靭帯のどれを指すかがその人の状態や状況によって違うということです。
筋肉(骨格筋)とは、小さい筋繊維が束になったもので、伸縮性があり、収縮することによって力を発揮して体(関節)をダイナミックに動かすことができ、弛緩した状態が元の長さであると言えます。
筋肉が「スジ」になっている場合は、過剰に収縮してしまって伸縮性が乏しく血行も悪くなっているので、体を温めたり関節を動かしたりして伸び縮みしやすい状態に戻してあげることが大切です。背骨の関節の動きが悪い場合はカイロプラクティックをご利用ください。
腱(けん)は、骨格筋が骨に付着する部分のことです。筋肉は赤く伸縮性があるのに対して、白くて硬く、伸縮性はあまりない組織で骨格筋のはたらきをサポートするとともに、体の構造を安定させる役割があります。伸長するときに力を発揮します。
靭帯(じんたい)は骨と骨とを結合させている強靭な結合組織の短い束です。伸縮性はほとんどなく、関節を補強したり過剰な動きを制限したりする役割をもっています。
腱と靭帯はもともと硬い組織なので、それが痛むということは、損傷か炎症などが起きていると考えられます。ですから、腱や靭帯のスジが痛い場合はゆるめるというものではなく、なぜ(外傷を受けたわけでもないのに)損傷や炎症を起こしているのか、からだ(背骨)のゆがみをみつけて矯正し、その腱や靭帯に負担がかかりにくいバランスにととのえることが大切です。
(余談ですが、「牛スジの煮込み」に煮込まれているのは「牛のアキレス腱」、コンビニおでんの「スジ」は牛ハラミの外側の膜「メンブレン」であることが多いそうです。)
(M)