強直性脊椎炎
以前のトピック「寝起きに背中や腰が痛い」で夜間や寝起きに背中や腰の痛みが強くなり、起きて体を動かすと改善するこわばりについて、よく見られる状態だと書きましたが、背中のこわばりや運動制限とともに、長引く関節の痛み,背部痛や腰痛や殿部痛,呼吸時の胸部痛に加えて、微熱や目の炎症やアキレス腱部の痛みなどがあったら、強直性脊椎炎の疑いがあります。
強直性脊椎炎は脊椎関節炎の一つで、背骨や骨盤の関節(仙腸関節)の炎症や、その他股関節や肩関節などの大きな関節,手足の指の炎症が起きて、こわばりと痛みを生じます。
日本人における発生率は低いですが、家族内発生が高い確率でみられ、整形外科では(日常よく遭遇するわけではないが)まれではない疾患という分類になっています。男性に多く、好発年齢は10代〜20代で、原因はよく分かっていません。
炎症の再燃による痛みと、ほとんど無症状の時期とが交互に現れることがあり、最終的に反復性になります。腰痛,背部痛などの痛みの程度は出現するたびに異なり、また人によっても違います。
腰背部痛やそれに伴う傍脊柱筋の痙縮(背骨の横の筋肉が過緊張して動かしにくい、意思とは関係なく動いてしまうという状態)は、背中を曲げた前屈みの姿勢で緩和されるために、背中がだんだん丸くなって腰椎の前弯が減少・脊柱後弯が増強されてしまい、まっすぐに横たわることができません。
強直性脊椎炎の治療の目的のうちカイロプラクティックの施術が目指すものは、関節可動域の維持や傍脊柱筋の筋力アップによる適切な姿勢の維持,腰背部痛の緩和,脊椎の変形を予防または修正することなどです。ただ、カイロプラクティックの施術には自然治癒力を高めることが大きな目的としてあるとは言え、他の末梢臓器の損傷を予防したり、関節や目の炎症を抑えたりするためには適切な医学的治療も受けていただきたいです。
(M)