[Topic]肩や首が痛くて腕が上がらない＜五十肩＞②
肩や首が痛くて肩が上がらないことに気づいた時、みなさんはまず何をしますか？
多くの方が整形外科や総合病院に行かれると思います。そこで色々な検査を行い、原因が特定できない場合、もしくは年齢的に「五十肩ですね」と言われ鎮痛剤、湿布薬、電機治療などを繰り返し行う。短期間で変化が見られた場合は日常生活に戻れますが、そのままずっと肩が痛むまま過ごしている方も多いのではないかと思います。
前回、五十肩?で紹介した通り、五十肩は原因がわからないにもかかわらず、半年～1年、長い人で2年も痛みと戦い続ける疾患です。原因がないのだから、痛みに対して→鎮痛剤、炎症に対して→湿布（消炎鎮痛剤）と対処療法になってしまうのです。理学療法士や作業療法士がついてリハビリの様に運動療法を行う病院もあるようですが、割合的には少ないです。
そこで代替医療の門をたたく人いらっしゃいます。鍼灸をはじめ、整体・カイロプラクティックなどの手技、ヨガ・ピラティスなどの運動療法を選択する方も少なくありません。何となく施術のイメージは浮かぶけれど、何をやっているかわからない、知り合いの人で通っている人に紹介されないと踏ん切りがつかないという方が多いのも現状です。
そこで今回はカイロプラクティックでどのようにアプローチしているかをご紹介します。
カイロプラクティックはそもそも、背骨の配列を正すことで動きを健康に保つこと、神経系の阻害因子を省くことを目的とした治療法です。歪んだ背骨のままでは左右はおろか、前後の筋力バランスも健康に保つことはできません。自律神経に対しても効果を発揮することも知られていますが、今回は肩にフォーカスをしますので、また別の回でご紹介することにします。
まず肩ですが、詳しく分けると肩甲骨、鎖骨、上腕骨（じょうわんこつ?腕の肘から上の骨）で形成されています。筋肉の付着部を考えると、頚椎（首の骨）や背骨、肋骨、一番遠くて骨盤から肩へいく筋肉もあります。肩の関節は股関節（こかんせつ）のようにはまり込んでいない為、可動性は非常に高いですが、安定させるためにそれぞれの筋肉が果たす役割が大切になってきます。
前回紹介した、あまり肩を動かさず、一定の生活パターンを続けている人がなぜ五十肩になりやすいかというと、偏った筋肉の使い方を続けることで、背骨や頚椎、骨盤が歪み、筋肉が本来の力を発揮できない状態に陥ってしまうからです。
そもそも肩甲骨に一部を固定する形で上腕骨が自由に動くという肩の機能から考えて、どこか一箇所でも不具合が見つかれば、様々な方向へ動かすことが困難になってきます。
では実際はどのように施術を進めるのでしょうか。まずは問診と触診、整形外科的検査、可動域の検査を行い「どんな時に、どんな方向へ、どの程度の速さ、重さ（荷物などを持っているなど）、どのくらいの期間痛いのか」ということを患者さんの訴えを元に探ります。病院に行かず直接来院された方で、明らかに整形外科的な問題（腱板炎、靭帯の損傷、その他など）がある場合は専門の病院をご紹介します。
それ以外の方は脊柱（背骨、首の骨、骨盤）の検査で動きが悪い箇所を探し、肩関節への影響がある・なしに関わらず脊柱の調整を行っていきます。なぜならば猫背もストレートネック、ストレートバック、骨盤の歪みも、肩回りの筋肉に影響が出るものばかりだからです。
加えて、肩周りの筋肉が凝り固まってしまい、機能の回復だけでは時間がかかりそうな方は肩のモビリゼーション（術者が肩を動かしていく療法）を行います。場合によっては超音波などの機器を使う場合もありますが、目的は肩周りの筋肉の拘縮（固まりきって滑り・動きともに悪い筋肉）を改善することです。
この拘縮に対しての施術を進めていく時に筋肉の線維を壊して、新しい細胞が出来上がる前に動きをつけて本来の筋肉の長さ、滑り、動きを取り戻していきます。一度筋肉の細胞を壊しますので、炎症が起こり、熱感をもった痛みが出ることがありますが、まさにその時にアイシングや湿布、鎮痛剤を用いて炎症に対抗します。
炎症自体は48時間～72時間で治まるといわれていますし、新しい筋肉は4?6週間で定着してきます。その間に施術を行うことで、可動性を確保するというのが大きな目的になってきます。
長く肩が痛かった方は時間がかかることもありますが、そのまま放置して、痛みが引いた後、以前より肩が動かないという問題からは開放されます。
腕が上がらない、肩が痛いということは周りが思う以上に本人にとっては辛く、先の見えない戦いに疲れてしまうものです。ご自身が五十肩で悩まれている方も、ご家族や周囲の方で同じような症状にこころあたりのある方は、一度施術を受けて（勧めて）みてください。肩以外にも必ず痛みを伴う場所があると思います。同じ症状を繰り返さないためにも、今ご自身の身体がどうなっているのかまずは知ることからが治療の始まりです。（Ｋ）
