癌になりにくい生活
少し前の話になるのですが、2013年5月にNHKスペシャルで「病の起源 がん?人類進化が生んだ病?」が放送されました。
がんの特徴は、異常な細胞分裂です。がん増殖は、精子増殖と同じメカニズムを利用しています。発情期をなくすように進化した人類は、オスが常に精子を増殖させられるように遺伝子を変化させました。その結果、がん細胞の異常な増殖につながったそうです。
また、二足歩行によって人間は脳を巨大化させてきました。この脳を飛躍的に増殖させる役割を担った脂肪酸合成酵素(しぼうさんごうせいこうそ=FAS)もまた、がん増殖の原動力になっているそうです。
さらに、人口が増えた過ぎたことによりアフリカから高緯度地域に移ったため、紫外線を浴びる量が減りました。がん増殖を防ぐビタミンDを作り出す仕組みが減少し、がんのリスクが高くなったそうです。
人類が癌になる仕組みが、進化の過程で組み込まれたのが、病の起源ということですね。上記の中で、簡単に対策が可能なものはビタミンDです。ビタミンDを作ることで、がんの抑制を強化できそうです。では、ビタミンDはどのようにして体内で作られるのでしょうか。実は、日光に当たることで、皮膚で生成されるのです。紫外線にはシミやシワができやすくなるデメリットもありますが、ビタミンDを生成するメリットもあるのです。適度な日光浴が、健康につながるのは感覚的にも納得できます。
どのくらいの日光浴がいいかというと、紫外線の多い夏場では5?15分、春や秋でも30分程度、一日に浴びれば十分な量のビタミンDが合成されます。これを週に2日だけでいいのです。その際、日焼け止めは塗らないことがポイントです。日焼けが気になる方は、焼けにくい手のひらや腕の内側だけ塗らないようにして、そこに紫外線を当てるようにするといいでしょう。もしビタミンDが欠乏すると、くる病、多発性硬化症、1型糖尿病の発生度が高くなるリスクがあります。特に冬は、ビタミンDが少なくなりやすいので、積極的な日光浴を心がけましょう。
がんの起源ではないですが、番組内ではライフスタイルの変化もがん発生のリスクが高いことを紹介していました。電灯により夜間の活動が増えると、がん抑制物質メラトニンが減少するのでがん発生のリスクが高まる、というものです。メラトニンといえば、日内リズムを調整しているホルモンとして有名ですが、がんの抑制効果も分かってきています。夜間、寝ている間に脳の松果体という部分からメラトニンは分泌されます。
以上のことをふまえると、日光を浴びる規則正しい生活を送ることが、人間に本来備わっているがんを抑制する作用が働きやすい生活と言えるのではないでしょうか。カイロプラクティックがお力になれそうなのは、がんを直接どうこうという話ではなく、自律神経の働きを整えることで規則正しい生活を送りやすい状態に持っていくことです。すると、自然治癒力が働きやすくなります。カイロプラクティックで特に自律神経との関わりが深いといわれている部位をチェックして、そこに背骨の動きの悪さがあれば、関節の動きをつけていき元の状態に正していきます。そうすることで、自然治癒力が最大限発揮できる状態に近づいていくはずです。ビタミンDは食事やサプリメントなどで補うことができますが、カイロプラクティックにより自分自身で健康になれる本来の状態を目指してみてはいかがでしょうか。(G)