タバコとCOPDとカイロプラクティック
最近、禁煙外来のCMをよく目にします。製薬会社が力を入れているのか分かりませんが、タバコの健康被害は深刻です。2006年から禁煙にも健康保険の適用が開始されているので、禁煙に失敗している人も再チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
さて、タバコの健康被害はというと色々あります。高血圧や糖尿病、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞、がん等、これら全てがタバコによってリスク増となります。今回はその中で、呼吸気に関わるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を取り上げます。
COPDは、命にかかわるたばこ病です。長年の喫煙習慣によって肺に炎症がおこり、肺機能が低下する病気です。死亡者数は世界的に増加傾向で、WHO(世界保健機関)によれば2030年には虚血性疾患(動脈硬化など)、脳血管障害(脳梗塞など)に続き、死亡原因の第3位になると予測されています。主な症状は、「咳(せき)・痰(たん)」と「息切れ」です。これらが進行し重症化していくと、慢性的な呼吸困難に陥り日常生活にも支障をきたすようになります。行きつく先は、窒息死です。ですので、咳や痰がかぜでもないのに2週間以上続いたら要注意です。
COPDの発症リスクの目安となるものに、「喫煙指数」があります。
喫煙指数=1日のたばこ本数×喫煙年数
この指数が400を超えると注意が必要です。息苦しさを自覚している人は、600以上と言われています。年々、COPDが近づいてきていますよ。早めの専門医受診をおすすめします。基本的には、禁煙が大前提となります。
禁煙に成功しているけれど、COPDになってしまっている方は、いかにして生活の質(QOL)を維持していくかが大事になってきます。肺の能力の物理的改善はまれにしかおこらない、と言われています。しかし、カイロプラクティックマニピュレーションを薬物療法と併用すると、薬物療法だけに比べて自覚症状の改善度が大きいという調査報告があります。海外の研究になるのですが、階段を昇るといった身体運動を行う能力を含めた自覚症状の改善度が、カイロプラクティックを併用した方が大きいのです。「1秒率」といった肺の能力の物理的な改善はみられなくても、QOLが向上することを示唆しています。
カイロプラクティックには、胸郭コンプライアンス(肺のふくらみやすさ)の増加を物理的に援助する役割と、神経機能の改善による呼吸への神経学的援助の役割があります。胸郭を構成する胸椎や肋骨の可動性を物理的にあげていくことは、呼吸のしやすさにつながります。また、神経の促通により、呼吸に関わる神経機能の改善(肋間筋や横隔膜の働きを良くする、等)の効果が期待できます。潰れてしまった肺胞は元には戻りませんが、機能を少しでも取り戻してQOLの維持に役立ててみてはいかがでしょうか。
まとめ
・タバコは健康によくないので、まずは禁煙しよう
・タバコを吸い続けることで、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスクも高くなる
・COPDになってしまったら、QOLの維持にカイロプラクティックを役立てる
(G)