年齢のせいとは限らない ヒザの内側の痛み(鵞足炎)
運動不足解消のためにジョギングを始めたら、スクワットを日課に取り入れたら、そして膝まわりの筋肉を強化するために処方されたリハビリを行なっていたら、「膝の内側が痛くなった」というお話を最近別々の方からお聞きしました。リハビリを行なっていた方はすでにその整形外科で「鵞足炎」と診断されて、そのリハビリはお休みしているとのこと。
共通して痛むところは、膝の曲げ伸ばしするところより5㎝ほど下(遠位)の内側です。
その部分は3(4)つの筋肉が水鳥の足のような形に付着してるため鵞足と呼ばれています。それらの筋肉とその付着部である脛骨(すねの骨)の間の滑液包に炎症が起きるのが鵞足炎です。
鵞足炎は、ランニングやスクワットなどヒザの曲げ伸ばしを繰り返す運動、イスに座り続けるあるいはあぐらや横座りを続ける、打撲などの直接的なダメージなどによって起こります。
腫れや熱感があり、圧痛(押すと痛い)が生じます。炎症がひどいときは寝ていても疼くような痛みがあります。
リスク要因は
・変形性膝関節症や内側半月板損傷など
・繰り返し運動の急激な増加(走行距離やスクワット回数、あるいは急坂など)といった不適切なトレーニング
・ハムストリングスの硬さ
そして筋肉のアンバランスを生む腰椎や骨盤のゆがみです。
鵞足を構成する筋肉は縫工筋,薄筋,内側ハムストリング(半腱,半膜様筋)で、それぞれの筋肉の作用には少しずつ違いはありますがいずれの筋肉も骨盤に起始があります。
もっとも表層にある縫工筋は、伸張されて痛みを出す筋肉です。膝関節の屈曲の他に股関節の屈曲と外転と外旋の作用があるので、逆に膝が内側に入るような動きで痛みます。支配神経は大腿神経(L2〜3)です。
縫工筋は骨盤の前側(上前腸骨棘)から起始しているので、骨盤が後ろに傾いていると伸ばされる方向に負荷がかかると考えられます。
内側ハムストリングスは坐骨という骨盤のお尻側の骨に起始していて、「イスの被害者」と言われるほど座りっぱなしでいると硬くなりやすい筋肉です。骨盤のゆがみの影響を受けやすく、また反対にハムストリングスが硬くなることが骨盤のゆがみの原因になります。支配神経は脛骨神経(L4〜S2)です。
このように、膝の内側の鵞足と呼ばれる部分の痛みには骨盤や腰椎の問題が影響している可能性がおおいにあります。
ヒザの痛みと言えば年齢的なものや体重のせいだと諦めがちですが、身体のゆがみをカイロプラクティックで矯正し、ストレッチなどを加えて筋肉のアンバランスをととのえていくことでカバーできることがあります。
(M)