ふとした動きで肩の前側に激痛!
腕を上げようとするなどふとした動作で肩の前側にズキっと強い痛みが出て、「四十肩かな?」と思うものの、痛みはすぐにおさまるし、手を頭の上まで挙げることができる…このような症状で、上腕二頭筋長頭腱を痛めている場合があります。
上腕二頭筋は、ご存知のとおり腕の力こぶの筋肉です。肘を曲げる、肘から下(前腕)を外向きにする(回外)のが主な作用です。
「二頭」というのは筋肉の起始部が二つに分かれているということであり、それぞれ長頭,短頭と呼ばれています。長頭は肩甲骨関節上結節に、短頭は烏口突起という肩甲骨の一部にそれぞれ付着して肩関節(肩甲上腕関節)の固定に関わっているため、問題が起こると腕の筋肉とは言え肩に痛みが生じる場合があるのです。
特に長頭の腱は、肩甲骨と上腕骨との関節の上縁にある関節上結節(とその近くの関節唇)に起始して上腕骨頭に沿って関節内を横切り「結節間溝」という上腕骨の前側にある出っ張りの間の溝を通って関節外に出ていて、この溝のところでダメージを受けやすいです。
外傷(ケガ)や投球動作などのスポーツでのオーバーユースによるものの他、伝票めくりなど手を返す動作を繰り返す、ある程度の重さのあるものを肘にかけて持つ、スマホを持って長時間肘を曲げていたあとに急に動かすなどによってダメージを受けるケースも多いです。
ダメージを受けると炎症、重症だと変性や断裂などを起こしてしまい、結節間溝部である肩の前側に痛みが出ます。
日常生活でダメージを少なくするには、重いものを持つときは腕の力・肘を曲げる筋肉ばかりに負担がかからないようにすること、肘を曲げる姿勢を長時間続けずに動かすことなどに気を付けましょう。それには猫背姿勢をただして腕を動かしやすくする、肩甲骨を安定させる筋肉の力を強くして腕の重さを支える、などが大切です。
そのためには、猫背の元になっている頚椎や胸椎の可動制限の改善,肩甲骨周囲の筋肉の筋力とバランスに関わる頚胸移行部のゆがみの解消,腕の動きを制限している胸椎の可動域の改善,そして上腕二頭筋の支配神経の通り道である頚椎のゆがみを矯正することが、カイロプラクティック的に重要です。
(M)