痛みは脳で感じている2
以前のトピック「痛みは脳で感じている」に書いた、痛みが情動と関わっていることを裏付ける新たな仕組みが分かってきました。
それが、「こころや脳の働きが全身にひろがる痛みを生み出す仕組みを解明」になります。リンク先内のPDFファイルに、詳しく書かれています。
情動と関わる脳部位「扁桃体」、中でも右扁桃体中心核のニューロンを人工的に興奮させたときの痛みの感受性の変化を調査しています。そして、「右扁桃体中心核のニューロンの活動が、身体の広い範囲の痛みの感度を調整している」と結論付けられています。誤解を恐れずに言い換えると、情動で痛みが増幅している、ということになります。
実験では炎症や傷害のないマウスを使い、情動と関わる右扁桃体中心核を人工的に興奮させている間だけ左右両足に痛覚過敏が生じることが分かりました。本来、痛みとは感じない程度の感覚を痛みととらえてしまうのが、この痛覚過敏です。さらに研究が進むと、異常がないのに体のあちこちに出る痛みを、右扁桃体中心核の活動を制御して抑えられるようになるかもしれませんね。
実験では人工的な操作で炎症や傷害のないマウスを生み出せますが、現実には体に何も問題がない人は少ないのではないでしょうか。医学的には「異常なし」と言われても、慢性的な痛みを訴えてカイロプラクティックに来られる方がたくさんいらっしゃいます。慢性的な痛みがある時点で、それがストレスとなり右扁桃体には過剰な刺激が続いているはずだからです。
例えば、整形外科でレントゲンやMRI撮影をして「画像上、骨や椎間板に問題はみられない」という場合、整形外科では手術の必要がないので「異常なし」と言われたり、訴えている痛みに対しては、痛み止めの注射や薬を処方されることが多いようです。
痛みが治まれば良いですが、そうでない場合にカイロプラクティックに来られる方がいらっしゃいます。カイロプラクティックでは、レントゲンやMRIの静止画像では分からない動きに着目します。そして動きが悪くなっている関節(特に背骨)を元通りに動くようにカイロプラクティックの矯正を行うと、神経筋機能が改善し痛みが消失していくことが臨床上よく見られます。慢性的な痛みがカイロプラクティック施術で消失したとすれば、右扁桃体への刺激も抑制できている可能性があります。
もしカイロプラクティックに出会わなければ、慢性的な痛みが右扁桃体を刺激し続けてしまいます。するとカイロプラクティック的にも問題がない部位に、痛みを感じるようになるかもしれません。実際、体のあちこちに慢性的な痛みを訴えてカイロプラクティックに来られる方の中に、カイロプラクティックで見つかった問題を正していくとそことは離れた部位の痛みも消失することがあります。あちこちあった痛みが、だんだんと減ってくるのです。おそらく、カイロプラクティック的な問題をひとつひとつ解決して慢性的な痛みが落ち着いてくることで、右扁桃体への刺激が減ったのではないかと思います。
どこへ行っても解決しない問題をかかえている方は、一度カイロプラクティックでチェックしてみてはいかがでしょうか。
(G)