痛みがあると身体をうまく動かせない
あたりまえのようなタイトルですが、これまで分かっていなかったことが分かってきた、というお話です。「痛みへの恐怖は運動のプログラム中枢を変容させる」というリハビリテーション分野の研究で、脳のメカニズムが明らかになったというものです。詳しくは、リンク先を参照してください。
私がおもしろいと感じたのは、
『ブレーキを踏みながらアクセルを強く踏んでいるような状態』で、自らで行動を抑制しながらも、無理をして行動を起こしている状態』
というところです。こうしたことが続くと、運動の異常パターンが出現すると考えられる、とのことです。
この研究のポイントは、以下の通りです。
・痛みを怖がりながら身体を動かすと運動のプログラム中枢に活動異常が生じる
・そのような脳の活動異常は、運動の意思が顕在化された後から生じる
リハビリ分野の場合だと、例えば痛みをこらえながらも可動域を回復させる必要がある場合がありそうです。しかし、本人が痛いと思うことをすると却って変な運動パターンを学習することになるかもしれない、ということですね。痛みや恐怖を感じる運動は、しない方がいい場合もありそうです。
さて「痛い方が効いていると思って我慢して運動/ストレッチを続けていたら、もっと痛くなってどうしようもなくなった」と言って、カイロプラクティックに来られる方がいらっしゃいます。最近は手軽に動画で運動やストレッチを見られるようになり、自分でやってみる方が増えているのかもしれません。どんな運動/ストレッチをしたかをお聞きすると、確かに効果がありそうなことをやってらっしゃったりします。しかし痛みがない時には効果的でも、痛みを抱えながら行うと正しく行えないことがあります。まさに上記の研究の通りです。
こうした場合、どうして痛みが起きているかをカイロプラクティックの視点で確認し、問題解決をしていきます。多くの場合、背骨の関節の動きが悪くなっていて、そこに関連する神経筋機能が低下しています。カイロプラクティックの矯正で背骨を調整して、神経筋機能を改善させていきます。すると、これまで痛くてできなかった動き(運動やストレッチ)ができるようになってきます。痛みが出るうちは無理をしないで、カイロプラクティックで調整して痛みが出なくなってから運動やストレッチを行うと、異常な運動パターンにならず効果的です。
(G)