過去のケガや古傷
交通事故や部活動中のスポーツ傷害など過去にケガをしたことがあり、そのケガは治っているにもかかわらず今も何かしらの違和感として残っている…ということはよくあります。
いわゆる、古傷が痛む・うずくようなものや、捻挫グセのあった足首の曲げ伸ばしが硬い/脱臼した肩に不安定な感じがあるというようなものなどは珍しくない例です。
ケガというと皮膚から出血するようなものをイメージしますがそれだけではなく、打撲や捻挫による損傷なども含まれます。皮膚,皮下組織、筋肉,腱,血管,神経といった軟部組織の損傷は、切り傷や擦り傷などの外部からの物理的な力だけでなく、捻挫や脱臼など関節が生理的な可動範囲を超えて運動を強制された結果起こるケガによっても起こります。
ケガが治っていてもケガをする前の状態にまったく元どおりに治っているわけではなく、捻挫や脱臼をした関節の適合性が悪くなっていたり、その周囲の軟部組織が硬くなっていたりすることはよくあって、そのせいで伸縮がスムーズにできなくなっていたり、血流が悪くなっていたりするために、痛みや違和感が残ってしまっているという可能性があります。
特に、打撲や捻挫などは「大したことない」と自己判断して、受傷当時に適切な対処・治療やリハビリがおこなわれていない場合も多く、軟部組織の“引き攣れ”や関節の可動低下として残って、動作時に痛みを生じさせることがあります。
その他、痛みが記憶として残って脳に伝わり続けてしまっているというケースもあります。医学的には中枢性感作と言うそうです。痛み刺激を長い期間受けていると、痛みに敏感になって気温や気圧の変化で痛みを強く感じるようになったり、痛み刺激がなくなった後も痛いと脳が感じるようになったりしてしまうのです。
古傷が完全に元どおりに回復することは難しいというのは事実ですが、カイロプラクティックでは背骨の矯正によって神経系を介して関節や軟部組織の回復を目指すとともに、神経のはたらきがよくなることで感覚や運動のリハビリの助けになるようにアプローチできると考えます。
受傷から時間が経っているほど回復にも時間がかかりますが、関節可動域の改善や、筋肉や靭帯の安定性や柔軟性の回復、また、感覚の神経のはたらきが改善することで痛み記憶にも良い影響が出るケースも報告されています。
もうひとつカイロプラクティックで気にかかるところは、知らずのうちに古傷をかばう姿勢をとっていることによって姿勢のゆがみが生じていることです。
痛みやゆがみが思わぬところに悪い影響を及ぼすことがあるのが不思議なところであり、同時に、ゆがみが改善することで良い影響が出るのもからだの素晴らしいところです。
(M)