手と指を酷使している人が増えています
手首や手のひら部分や指には、たくさんの骨と関節があって細かな動きを可能にしています。
つまんだり、つかんだり、握ったりといった力の微妙な加減も、手に取るものに合わせて繊細にコントロールすることができます。
どんな仕事をしているかに関わらずほとんどの人は手を毎日使うと思いますが、決まった動きばかりしかしていないということはままあります。
そしてそのために、オーバーユースによる腱鞘炎や手根管症候群(正中神経の障害),ギヨン管症候群(尺骨神経/脈管が圧迫される),変形性関節症,ガングリオン,ばね指,つき指などの外傷その他痛みを伴う疾患が起こりやすい部位でもあります。
さらに、手指の関節を動かす筋肉は、隣り合う関節の間をつなぐ細かいものから、前腕,肘近くからつながっているものまであり、手指を使いすぎることで肘や上腕,さらにつながって肩が痛くなるということもあるのです。
そして現代では特に、デスクワークの人がPCのキーボードをたくさん打つなどして手指ばかりを酷使しているために手指が疲労しやすいですが、そのとき肩はこっていて筋肉が硬く、血流が悪くなっていると、手指を使うことで生じた老廃物や発痛物質などを含む古い血液と酸素や栄養を含んだ新しい血液とが入れ替わりにくくなるということが起こります。
また、手や指より近位の上腕や肩甲骨周りの筋肉をうまく使えていない人が多く、重いものを手で取ろうとするときや、ゴルフや球技などの上肢で道具を使うスポーツをするときに、小手先だけでやってしまって痛めるというケースも増えているようです。
気づかぬうちに疲れている手首と指ですから、一日中使ったあとはゆっくり手を広げたり反らしたりして手のチェックとメンテナンスをしてあげてください。
手首の屈曲(掌屈)/伸展(背屈),側屈(手を振る動作)といった運動の制限や疼痛,握りこぶしをつくれるか,手を広げられるかなどがポイントです。
手首を屈曲/伸展ストレッチさせたときには腕の筋肉まで気持ちよく伸びるのが感じられると思います。
手首や指、前腕の運動や回復に関係するのは主に下部頚椎です。下部頚椎は頭と首が前に突き出る「首猫背」の姿勢の人で可動制限やゆがみが生じやすく、肩甲骨の安定にかかわる筋肉にも関係が深い部位です。
スポーツや重いものを持つことなどによって手首や指を痛めてしまいやすい人は、手の負担を減らせるように肩甲骨周囲や腕の筋肉のはたらきがよくなるための頚椎へのアプローチも必要だと思います。手首(手根部)や手指の関節の可動制限がある場合は直接アプローチをするケースもあります。
(M)