後頭下筋群…目の疲れ 首肩こり 頭痛の原因にも
首,肩こりといえば、僧帽筋や肩甲挙筋など、後頭部や頚椎から肩,背中にかけて付着している大きめの筋肉が代表的ですが、近年は目の疲れや首猫背と併せて後頭下筋群も注目されています。
後頭下筋群は頭蓋骨と首の骨との間をつなぐ深層の固有背筋の一部の小さな筋肉群です。僧帽筋の奥にあって同じく固有背筋である頭板状筋や頭半棘筋の、さらに下層にあります。
後頭下筋群は頚椎1番あるいは2番と後頭部とを繋ぐもの(大,小後頭直筋や上頭斜筋)と、頚椎1番と2番との間にあるもの(下頭斜筋)とがあって共同で作用して頭部の後屈(伸展),側屈,回旋の動きに関わっています。
そして、頭や首の動きを伴わなくても、視線だけをキョロキョロ動かす(眼球運動)ことで後頭下筋群の収縮が起こります。
つまり、PCやスマホなどの近くの画面を見続けることや、そのときに姿勢が悪い・いわゆる猫背になっていることが、後頭下筋群を常に使って固くしてしまう原因になっていると言えます。
さらにストレートネックといわれる状態は、頭部の重さ負荷を緩和する首の生理的前弯が消失しているということなので、顔が前に突き出るほど、頭を後ろから引っ張って支えようとする後頭下筋群の負担は大きくなってしまうと言えます。
また、後頭下筋群に問題が起こると、関連痛が後頭部〜こめかみ・目の奥に出ます。これが頭痛として感覚されているケースも少なくないようです。
体の表層に近いところが痛む場合は痛みを限局的に感じますが、後頭下筋群は深部なので、痛む範囲が漠然として広く感じられる傾向もあります。
後頭下筋群のセルフケアとしては、仰向けに寝て、ゆっくり「イヤイヤ」をするような動きで首を左右に振る/頷くように小さく顎を引くなどが効果的です。
日常、PCやスマホの画面を見るときに頭部を胸より前に突き出したり、顎が上がったりしていると、後頭下筋群の緊張は強くなりますので、姿勢をただすことも大切です。
後頭下筋群に問題があるときは、頚椎の1番(C1)や2番(C2)の動きが制限されています。後頭下筋群は支配神経も頚神経(の後枝)なので、これら上部頚椎や頭蓋骨(C0と表現します)のゆがみを矯正することで、付着部の可動制限負荷ストレスだけでなく、神経のはたらきも改善されてリラックスしやすくなり、姿勢改善のきっかけにもなります。
(M)