片足重心
高齢者の転倒問題について、重心の前/後の傾きについてはよく話題にされエクササイズやストレッチなどのトレーニング方法も紹介される機会が多いですが、重心の左右片側の傾き・片足重心については取り上げられる機会が少ないように思います。
それは片足重心になっている高齢者は多くの場合、股関節,膝,足首など足に痛みや変形などが生じているために、それらの不具合が原因で片足重心になってしまっていると考えるためだと思います。
しかし逆に、それらの関節の問題がなぜ起きたのかを考えると、重心の前/後 だけでなく左/右 側方の傾きがあった状態で生活し続けたからと考えられるのではないでしょうか(もちろんケガなどの例外はあります)。
どちらか一方の足に体重をかけて立つ方が楽で、立っている時間が長いと「片足重心」になってしまうという人は子どもから中高年の人にも少なくないと思います。
歩くときに腰が左右どちらかに大きく揺れる人も、重心が偏っていると考えられます。
また、立っているときの片足重心だけでなく、座っているときには「片尻重心」が起こり得ます。気づくとどちらか一方の同じ方でばかり足を組んでいたり、頬杖をついていたりする人は、座っているときの重心が偏っている可能性が高いです。
まだまだ動けるしどこも痛くはないけど片足重心になるのは何故か?それは骨盤や背骨に、傾き,ゆがみ,可動制限があるせいで身体が片側に寄っているからだと考えるのはとても分かりやすいのではないでしょうか?骨盤に傾きがあると、その骨盤側の足が見かけ上短くなる(機能的短下肢)ことも知られています。
重力に抗って立位や坐(座)位などの姿勢を保つためにはたらく筋肉を「抗重力筋」と言い、これは通常お腹と背中,腰、太ももやスネとふくらはぎといった身体の前後の筋肉を指します。
良い姿勢を維持するのが難しいとき、これらの筋肉の筋力が弱下していたりバランスが悪くなったりしている……たとえば、ふくらはぎの踏ん張る力が弱い,背筋力に比べて腹筋の力が弱いなどが起こっています。
しかし実は身体の側面にも筋肉があって、特に太ももの内側/外側の筋肉は、立っているときの姿勢を保つのに重要なはたらきをしています。そしてこれらの筋肉の内/外,左/右のバランスが悪くなることも、片足重心になってしまう原因となるのです。
片足重心は脳のはたらきを含む全身のバランス機能の低下につながります。
カイロプラクティックではもちろん、背骨や骨盤の「ゆがみ」を矯正することで筋力をととのえ、筋力がただしく発揮されることでまた反対に四肢からバランス良く感覚が脳に伝えられて、バランス機能が改善することを目指して、お子さんからご高齢の方までアプローチしたいと考えています。
(M)