運動神経は良くなる!
「運動神経」はトレーニングで能力を向上させることができます。
しかしまず訂正しておきたいのは、運動神経が良い/悪いという表現は俗語であり、医学的にいう運動神経とは、運動のセンスのことではなく、脳から筋肉に向かう神経そのものを指します。
運動が得意/不得意という意味で使われる「運動神経」は、現在ではコーディネーション能力と呼ばれています。
コーディネーション(coordination)とは、調整,連携という意味の英語で、コーディネーション能力とは、感覚のはたらきと身体の各部位の動作を効率よく連携,調和させ、適切に身体を動かす能力のことです。元々は1970年代に旧東ドイツにおいてアスリート育成のために提唱された理論で、研究の発端は「運動神経とは何か」だったと言われています。
つまり、運動神経は誰にでも備わっているものであり、「運動神経が良くなる」とは、感覚と運動の神経をトレーニングすることで得られるコーディネーション能力の向上ということです。
運動神経あらためコーディネーション能力は次の7つに分けられています。
○定位能力:相手や目標(ボールや的やゴールなど)との距離感など、時間的,空間的に自分の位置を把握する能力
○リズム能力:視覚や聴覚から得た情報をもとに動きをまねる,動くタイミングを上手につかむ能力
○バランス能力:空中,水中,移動中などの姿勢や重心のバランスを正しく保ち、崩れた場合に素早く体勢を立て直す能力
○変換能力:状況やまわりの変化に対応して素早く動きを切り替える能力
○識別能力:視覚などの感覚のはたらきと手足などの身体の動きを同調させ、動作のタイミングや力加減などを適切におこなう能力
○反応能力:合図や刺激に対して素早く反応し適切な対応と運動をおこなう能力
○連結能力:手足,体幹など各部位でおこなういくつかの異なる動作を力加減やスピードなどを調節しながらスムーズに無駄なく動かす能力
これらの能力は小児期から12歳頃までにもっとも発達すると言われていますが、大人でも能力アップが可能であることが判っています。
カイロプラクティックのトリートメントの効果として期待できるものの中に「パフォーマンスの向上」を挙げているのは、コーディネーション能力の内にも重要視されている「感覚」と「運動」のそれぞれの神経の調整,および情報として入力する感覚と出力としての運動との連携が適切かつスムーズにおこなわれるためにはそれらの神経の通りみちである背骨の関節の隙間(椎間孔)に生じている歪みを矯正(アジャストメント)するトリートメントだからです。
(M)