[Topic]関節の不安定性による腰痛
関節は、適度に動かすことをせずに過ごしていると関節包や靭帯や周りの筋肉などの軟部組織ごと固くなり、関節の可動性を低下させて、痛みを生じたり、そのまま年を重ねると加齢変化として関節の癒合などの変形(変形性関節症)を起こしたりします。
しかし、軟部組織の損傷や変性から生じる関節機能障害は必ずしも関節の可動性の低下に繋がるわけではなく、たとえば捻挫を繰り返すことによって足首の靭帯が伸びて不安定になり痛むように、体を曲げたり捻ったりしたひょうしに腰痛になるということがたびたび起こる場合には腰椎のある部分の関節が不安定になっている可能性もあります。
関節の安定性低下に起因する異常や機能障害は「関節不安定」または「関節ハイパーモビリティ」と呼んだりします。腰椎の関節が不安定のまま過ごしていると、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症といった状態(変形・変性)になってしまうこともあります。
動かさなくても動かしてもダメなのか…と不安になるかもしれませんが、適度に習慣的に動かした方が良いのです。不安定性には、不良姿勢や筋力の低下、不安定になっている部分以外の関節可動性の低下などが関わっていると考えられ、デスクワークばかりで動かさないあるいは長時間不良姿勢でいることなどはリスクになります。
ただし、首や腰などをポキッと鳴らそうとして勢いよく曲げたり捻ったりすると、背骨の固まっているところは動かずに動きやすいところ(関節)ばかりに回旋や剪断などの力が加えられてハイパーモビリティが生じるリスクが高くなります。
普段あまり運動の習慣がない場合は特に、動かし始めは勢いをつけずにゆっくり筋肉を使って動かしてください。
カイロプラクティックでは「可動域が増大しているが、関節を安定させる構造(筋肉や靭帯や関節包や椎間板など)の病的変化(損傷や炎症やヘルニアなど)が比較的軽度な状態」をハイパーモビリティと表現しますが、ハイパーモビリティに対する正確なチェック方法がないため、脊柱運動パターンやぎこちない動き,どのような場合に痛みが生じるのかなどの臨床像に注意して不安定性を考慮し施術をおこないます。
つまり、痛む部分の関節が不安定である可能性が高ければ、その前後(上下)の関節の可動性を上げる矯正や、安定させる筋肉の筋力にかかわる支配神経に関係する関節の問題を矯正することで、不安定性を生じている関節にかかる回旋や剪断力などの負荷を軽減させることを目指すものです。
(M)