カイロプラクティックの危険性と安全性
カイロは“手”プラクティックは“技術”を意味するギリシャ語で、カイロプラクティックとは“手技療法”というような意味です。
カイロプラクティックではその名の通り手技を用いて施術をおこないます。「アジャストメント(とカイロプラクターが呼んでいる関節の矯正)」=脊柱マニピュレーションの危険性と安全性についてお伝えします。
まず脊柱マニピュレーション(アジャストメント)をおこなうことによって害が及ぶ可能性のある疾患や病態について紹介します。WHO(世界保健機関)のガイドラインに絶対禁忌と相対禁忌が以下のように列挙されています。
[絶対禁忌]
環軸関節の不安定性、歯突起形成不全、不安定な歯突起骨などの異常、
亜脱臼または脱臼に伴う靭帯不安定性
骨折と脱臼
活動性若年性虚血壊死
悪性腫瘍(ガン)
進行性の良性腫瘍
筋肉や軟部組織の腫瘍性疾患
骨と関節の感染症(急性感染)
急性脊髄障害の徴候と症状
脊髄空洞症
…
[相対禁忌]
進行性のすべり症
関節可動性亢進と、関節の不安定性
代謝障害により弱化した骨
抗凝固療法や血液疾患などによる出血
骨粗鬆症
…
などです(詳細はこちらをご覧ください)。
しかしこれらの絶対禁忌,相対禁忌を有するからといってカイロプラクティックケアを全く受けられない訳ではありません。禁忌となる「疾患そのもの」に対する施術は禁忌でも、禁忌疾患を有する「患者」に対する施術は必ずしも禁忌ではないということです。
たとえば関節の可動亢進や不安定性は別の関節の可動制限の代償であることがあるので、その場合は制限のある関節へのマニピュレーションが適応となります。骨粗鬆症と診断されていても骨破壊や骨折が起こっていない関節へのアプローチは可能です。
あるいは、神経のはたらきを改善させて筋力や自律神経のバランス,そして自然治癒力を高めることを目的としたマニピュレーションもおこなうことができます。
ただし自然治癒力を高める効果が期待できるからといって、適切な現代医学的治療を受ける機会を遅らせることになってはいけないので、よく話しをお聴きしたり可能な限りのチェックをしたりして見極める必要があります。医学的治療との併用ももちろん可能です。
次に、背骨を急に動かすことによる危険性はないのか?という点についてですが、脊椎マニピュレーション自体は適切な施術の範囲においては極めて安全です。脊柱マニピュレーションの適切な施術の範囲とは、関節に力を加え、運動の能動的・受動的範囲から生理学的バリアを超えて関節に動きを加えるものであって、関節を損傷させる解剖学的な限界を越えるような負荷を加えるものではありません(「カイロプラクティックテクニック総覧」より)。
それから「カイロプラクティックの矯正が怖い」という場合のイメージとして特に「首を捻るような動かし方をして筋肉や靭帯や神経や血管を傷付けるのではないか?」というものがあると思いますので、首(頚椎)の矯正について具体的にみていきます。
まずは切ると死ぬというイメージのある頸動脈(総頚動脈→内頚動脈,外頚動脈)は太くて丈夫な血管ですし走行場所的にも問題ありません。走行場所でいえば頚椎の関節の矯正に一番影響を受けそうなのは椎骨動脈ですが、これも血管が丈夫な上に頚椎そのものや周囲の軟部組織等に守られています。
そもそも、首全体を不意にしならせたりねじったりような、いわゆる「むち打ち」が起こるような動かし方をするわけではありません。問題のある関節(サブラクセーション)に手を当ててロックし、前述のように解剖学的な限界を超えずに関節の動きをつける施術なので、組織の損傷はまず生じません。
もちろん、どんな場合にも危険性がまったくないか・カイロプラクティックの矯正が症状の悪化に全く関わっていないかと言われると、はいと言い切ることはできません。
それは、医師免許を持った医師の治療が絶対安全とは言えないのと同じです。しかし医師免許を持ってるお医者さんによるものなら、素人では怖くて危険しか感じないようなメスを使った手術でも危険性が0ではないと理解した上で安心して受けられると思います。
カイロプラクターは国家資格ではありませんが、スターカイロのカイロプラクターが所属する「JAC(日本カイロプラクターズ協会) 」の会員は、カイロプラクティック発祥の地アメリカ等と同等の国際基準のカイロプラクティック教育を修了し、民間資格ではありますが第三者機関による試験を通っています。神経,筋肉,骨格について専門的に勉強しておりますので、施術や症状に関する不安等もご相談ください。
(M)