カイロプラクティックはなぜ背骨をみるのか2
突然ですが、脳の神経細胞(ニューロン)の数は、生まれたときが一番多いと言われています。ところが、大人になるとその数は約10分の1にまで減ってしまっています。なぜ、このような現象が起こるのでしょうか?
脳の神経細胞は、発達段階で数を減らしていきます。重要なニューロンは残り、そうでないものは死んでしまうのです。数は減りますが、残った重要なニューロンは大きくなり、他のニューロンとネットワークを構築します(シナプス)。シナプスは、受ける刺激に応じて増加していきます(8歳くらいまで)。逆に刺激がないと、シナプスは潰れてしまうと考えられています。例えば、正常な耳と脳を持っていても、音のない環境をつくりだし聴覚刺激を与えないでいると、聴神経と脳のニューロンの間にシナプスがうまく形成されません。するとシナプスが潰れてしまい、音を聞き取ることができなくなってしまうのです。
このように各種の刺激に応じて、脳は発達していきます。そして環境に順応できるように、神経系を介して全身を調節します。例えば暑さ・寒さを感じとって、自律神経を介して体温を調節します。五感ももちろんそうです。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚は、外界の様々な刺激を感覚として脳に伝えてくれます。
外界からの刺激以外に、固有感覚というものがあります。固有感覚は、体の部位がどこに位置するかを脳に伝えています。たとえ目を閉じて見ていなくても、手を前に出すと大体の位置がイメージできますよね。あの感覚です。そしてここが重要なのですが、この固有感覚刺激が減ってしまうと、脳からの適正な出力が得られないことがあるのです。
例えば、腕を骨折してギプスで固定するとします。その間、肘の関節は曲がったままで固定されています。すると2週間くらいで腕の筋肉がやせてきてしまい、ギプスを巻きなおす必要がでてきます(骨がくっつくまで1カ月くらいかかるため)。筋肉がやせてくるのは、固定によって固有感覚刺激が脳に伝わらないために起こる現象です。骨折が癒えた後も、すぐには元通りにならずにリハビリが必要です。
腕の骨折ならば、骨がくっついた後にリハビリで肘を自ら動かしていくことができます。では仮に、背骨の関節がうまく動いていないとするとどうでしょうか?自分で背骨の関節を思った方向に動かしていける人は、少ないと思います。背骨の関節が正しく動いていないと、固有感覚刺激は脳に伝わっていきません。当然、脳からの適正な出力も得られません。神経の働きが低下して、さまざまな障害が起こりうる状態になってしまいます。お医者さんで異常がないと言われる、首・肩こりや、頭痛、背中の痛み、腰痛などは、こうした状態が引き起こした結果なのです。
そのために、我々カイロプラクターは、背骨を調節するのです。しっかりと訓練された(WHO基準の教育を修了した)カイロプラクターならば、背骨の状態を検査して正していくことが可能です。
まとめ
・脳の発達は、ボトムアップ
・脳は適正な刺激に応じて、神経系を介して全身を調節する
・カイロプラクティックは背骨の調節をできる専門職
(G)