膝の痛みと太ももの筋肉
膝の痛みの原因はさまざまあり、打撲や骨折などの外傷,痛風やリウマチ,変形性膝関節症,それから最近では膝の関節包の硬さが原因になるということをTVでご覧になった方も多いのではないでしょうか。
カイロプラクティックの考え方では、上記のような直接の原因以外に、骨盤の傾きによる左右の下肢長差や、腰椎や骨盤のゆがみ(サブラクセーション)による膝関節周囲の回復力の低下や筋力のアンバランスなどにも注目します(膝痛の症例報告)。今回の記事はこの中でも「大腿四頭筋」という太ももの前側の四つの筋肉が膝の痛みにどのように影響するのかについて書きます。
大腿四頭筋は主に膝関節を伸ばすときにはたらく筋群です。
四つの筋肉にはそれぞれの走行に対応して大腿直筋(だいたいちょっきん),内側広筋(ないそくこうきん),外側広筋(がいそくこうきん),中間広筋(ちゅうかんこうきん)という名前がついています。
変形性膝関節症の痛みを緩和・予防するためのエクササイズとしてイスに座っておこなう膝伸ばし運動が推奨されているのは、この大腿四頭筋を鍛えたりリセットしたりすることが主な目的です。
膝が加齢で弱る場合には特に内側広筋という内側の筋肉が弱っていることが多いです。
内側広筋の膝に近い部分は斜走(斜頭)線維と呼ばれ、膝の安定性にかかわるとともに、この部分が過緊張を起こすと膝(膝蓋骨・膝のお皿)に動きの制限が出て膝の内側の痛みが生じます。
外側の外側広筋は膝蓋骨の外側と上縁に付着しており、これも膝蓋骨の安定に関わります。弱ると膝の内側の痛みを助長し、過緊張を起こすと膝の外側だけでなく太ももの外側の痛みを生じることもあります。
大腿直筋は四頭筋の中で一番大きな筋肉で、股関節と膝の両方の関節に付着する二関節筋です。加齢による痛みよりはスポーツ傷害で痛みを生じやすく、それも股関節や鼡径部の痛みに関わることが多いですが、この筋は膝蓋骨の下側とスネの骨の上部にも付着していて、内側に寄る性質があり、骨盤の傾きや四頭筋の他の三筋に影響を与えやすいです。
大腿直筋の下にある中間広筋は大腿四頭筋の筋膜の中心にあり、膜性が強く、膝の伸ばし運動が日常的に少ないと組織の癒着を起こすことが多いです。その場合はこの筋肉を緩めるだけでも膝の痛みの緩和や予防になります。
大腿四頭筋の支配神経はL2~L4で、腰椎のゆがみの影響を受けます。また付着部という観点では骨盤の傾きによってもアンバランスを生じやすいです。
カイロプラクティックのチェックで問題がある部分をさがして矯正し、大腿四頭筋の問題による膝の痛みの緩和や予防につなげていけると考えています。
(M)