すべり症…腰痛 殿部痛 下肢痛
脊椎すべり症とは、一つの椎骨(背骨の骨)が尾側(下側・足寄り)の椎骨に対して前方(まれに後方や側方)にズレてしまった状態の総称です。すべり症には原因からみた分類があり、そのうち分離すべり症と変性すべり症が日常よくみられるもので重要です。
分離すべり症は、一つの椎骨の椎体(前方の丸い骨)と椎弓(後方の突起部分の骨)が分離しているために椎体部分が前方にすべった状態です。分離は腰椎の5番・L5椎によく起こります。
まだ身体のやわらかい学童期に腰をひねったり反らしたりする、あるいはジャンプするなどの負荷が繰り返しかかることで疲労骨折を起こして分離症になり、その後徐々に分離すべり症に進行したケースです。
学童期にはコルセットやギプスの適切な装着で分離部分の癒合が期待でき、周囲の筋肉のバランスをととのえることで進行を防ぐことができます。
変性すべり症は、椎間板や椎間関節,関節を支える周囲の靭帯などが変性して椎間に不安定性が生じ、椎骨全体がすべった状態です。40代以降で起こりやすく、腰椎の4番・L4椎の症例がほとんどです。
すべり症の初期には、変性や不安定性による、椎間板や椎間関節由来の腰痛が主体ですが、すべりが進行すると脊柱管狭窄症を生じて、間欠跛行(かんけつはこう・歩き続けていると痛みやしびれが強くなり、座って休むと症状がやわらぐ)があらわれたり、安静時にも下肢痛が出現したりするなどその症状が出ます。
ちなみに分離すべり症の場合は椎骨の後方部分はすべっていないので脊柱管の狭窄は起こりません。
分離すべりと変性すべりどちらの場合でも、すべり症の進行を防ぐには、下部腰椎の負担を減らすことが重要です。病院を受診した場合もすぐに手術ではなく、局所の安静や装具,物理療法,理学療法などの保存療法が原則としてまずは選択されるようです。
カイロプラクティックでは、骨盤のゆがみやすべり部分より上位の背骨の可動制限を矯正して、屈んだり腰をひねったりしたときの負荷が軽減されるようにととのえていきます。
また、多裂筋や腹横筋といった体幹の筋肉など、腰周囲の筋肉バランスをととのえて腰椎を支えられるようにするためにも、筋肉におくられている神経のはたらきを邪魔するような背骨や骨盤のゆがみを矯正します。
その上で日常生活の中で気をつけた方が良い姿勢や動き、日頃できるエクササイズのアドバイスなどもいたしますのでご相談ください。
(M)