内臓の不調…背骨の歪みとの関係は?
私たちカイロプラクターがカイロプラクティックの矯正をおこなうとき、「問題のある部分の支配神経」ということを考慮します。
背骨と背骨の間の関節の穴・椎間孔は、脊柱管からの末梢神経の出入口になっていて、関節に「ゆがみ」があることで椎間孔がゆがみ、そこを通る神経のはたらきを阻害することで関連する部分に問題が起こると考えるからです。
たとえば上部僧帽筋が過緊張という問題を起こして肩こりという症状が出ている場合、矯正をおこなう関節について「上部僧帽筋に関連する関節」とか「神経を送っている関節」というような説明をいたしますが、このときの神経というのは上部僧帽筋の支配神経である体性神経(感覚/運動の神経)をさしています。
同様に、内臓の支配神経と関連する背骨の関節というものがあります。
人体のすべての臓器・胸/腹部内臓や血管,分泌腺は、自律神経(交感神経と副交感神経)の支配によってコントロールされ、私たちの意識にのぼらずに調節されています(自律神経についてはこちらの記事もご覧ください)。
椎間孔から出てくる末梢神経のうち、体性神経とは別に主として内臓機能の調節にかかわる神経系がこの自律神経ですので、その神経線維の通りみちになっているところが「関連する背骨」ということになります。
交感神経は胸髄と腰髄(T1〜12とL1〜3)のレベルで節前線維(神経線維)が脊髄の外に出ます。
特に、胸部内臓である心臓や肺など、そして腹部内臓である胃腸や肝臓や腎臓などは、このT1〜L3のゆがみとそれぞれ関連づけられていて、カイロプラクティックのチェックと矯正で、不調が改善されるというケースが多く報告されています。
また、副交感神経は脳幹(中脳と延髄)と仙髄(骨盤の真ん中の逆三角形の骨・仙骨の孔から末梢神経・骨盤神経として出てくる)にあります。
延髄から出た副交感神経の線維の一部は迷走神経を経て頭蓋骨の頚静脈孔という頚椎1番に非常に近いところから出てきて胸腹部の内臓を支配しています。そして骨盤神経は大腸や生殖器などを支配しています。
このため、上部頚椎や骨盤帯のゆがみを矯正することで自律神経のバランスがととのって、からだが「良い状態になろうと調節する力」が高まると考えられるのです。
(M)